U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌146~『逡巡レインボー』『遺言』MATERIAL tanimatiにて上映

こんばんは。船長の武信です。


2020年から2021年にかけてU.M.I Film makersが関西の人気劇団と共催した「季刊ライトシネマ」の作品の中から竜崎だいち監督作品『逡巡レインボー』と中野守監督作品『遺言』が大阪・谷町のMovie's cafe MATERIAL tanimachiで上映されます。
MATERIAL『ショートムービータイム』2024という上映企画として期間限定での不定期複数回上映となりますので今後も時折上映されると思いますが、記念すべき第一回上映の詳細はこちら!



www.youtube.com
竜崎だいち監督『逡巡レインボー』


【日時】
4月18日(木)20:45~
4月29日(月/祝)19:00~


【料金】
1,100円(税込)+1オーダー制


【会場】
Movie's cafe MATERIAL tanimachi
(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」8号出入口より徒歩5分)
https://team-material.xyz/movie/


【あらすじ】
知らない街。 知らない駅のホーム。 降り立つ男。
道ゆく人々の中で、自分だけが立ち止まっている気がした。
いなくなった彼女が、そこにいることを知った。 来るつもりはなかった。
だけど気が付いたら、そこにいた。
視界に女が一人、見つかる。 彼女は安いビニール傘をさして、空を見ている。
空は曇天。だけど、雨は降っていない。
知らない街を、見知らぬ女と二人で、歩く。

僕は彼女に逢いに行く。
その後どうしたらいいかなんて、まだわからないけれど。


【キャスト】
桐山篤
西村朋恵(こまち日和)
ツジコウイチ(コッコア)
泉希衣子(MC企画)
ののあざみ(yum yum cheese)
竜崎だいち
出口弥生
出口ここね
竹田和哲(NOLKA SOLKA entertainment)
米山真理(彗星マジック) ほか


【スタッフ】
撮影監督/武信貴行(U.M.I Film makers)
音楽制作/コッコア
衣装協力/西出奈々(彗星マジック)
ロケ地協力/amagotta 宮脇書店アマゴッタ店 狂夏の市場劇場 他





www.youtube.com
中野守監督『遺言』


【日時】
4月17日(水) 19:30~
4月29日(月/祝)17:30~


【料金】
1,100円(税込)+1オーダー制


【会場】
Movie's cafe MATERIAL tanimachi
(大阪メトロ谷町線・中央線「谷町四丁目」8号出入口より徒歩5分)
https://team-material.xyz/movie/


【あらすじ】
祖父の通夜。弁護士が現れ、今からオリジナルの人生ゲームで遺産の取り分を決めると告げる。
遺族は反発するも参加せざるを得ない。
ゲームのマスには遺族の秘密を暴露する内容が書かれていた!
揉めまくる家族のハイスピード・ハイテンション会議ムービー!


【監督】
中野守(中野劇団)


【出演】
三条上ル
真野絵里
桐山泰典
川原悠
延命聡子(以上、中野劇団)
土肥希理子
長橋秀仁
神藤恭平(DanieLonely)
北川啓太


何方様も是非この機会にスクリーンで竜崎だいち監督作品『逡巡レインボー』、中野守監督作品『遺言』を御覧くださいませ!


因みに「季刊ライトシネマ」の「ライトシネマ」って何ぞ?
…と思われた方もいると思いますので説明しておきますと「軽音楽」「軽演劇」に相当するような「軽い映画」という意味で僕が作った造語です!www


「映画を作る」って何か大変そうなイメージが有ると思うんです。
まあ実際大変になりがちなんですが、そういう「大変」「一大事」みたいな方向ばかり強調するんじゃなくて、「ふと思い立って映画を作ってみました」みたいな軽い気持ちで始めれる映画作りもあって良いと思うんです。
特に普段から舞台作品を作っている人たちならジャンルにとらわれて活動の幅が狭くなるのは詰まらないし、技術的・機材的な初期投資の問題さえ押さえられたらそこそこ気軽に映画作りに挑んでみても良いんじゃないか?
それが可能になってこそ大資本の手になるしかないメインカルチャーとしての映画とは一線を画した、本当の「文化・芸能」じゃないかね、ワトソン君???
…という動機で始めたシリーズ企画が「季刊ライトシネマ」でした。
企画の主旨がそれだったので自然と小ぢんまりした小品が多いシリーズなのですが、佳作に恵まれた良いシリーズだと自負しておりますし、皆様にも「あ、こういう映画ももっと沢山あっても良いかも♪」と思っていただけましたらとても幸いです。


兎にも角にも皆様のご鑑賞をお待ちしております!<(_ _)>

船長の航海日誌145~『さなぎの猫』インド・メイ国際映画祭にて最優秀男優賞・最優秀女優賞受賞

こんにちは。船長の武信です。


映画『さなぎの猫』が2023年12月30日にインド・カルナータカ州ミスルで行われたメイ国際映画祭に入選してアカリヤ芸術科学大学にて上映され、最優秀男優賞(浅雛拓)と最優秀女優賞(鳩川七海)を受賞しました!

最優秀男優賞(浅雛拓)賞状
最優秀女優賞(鳩川七海)賞状

『さなぎの猫』は国内外問わずレビューや感想を読ませてもらってると結構な方が「俳優の演技がとても良い」みたいに言及して下さってるのですが、何気に映画祭で俳優賞頂くのは実は初めてでとても嬉しいです!
1200本ほどの応募が有ったということでかなりの難関を突破しての受賞なのですが、これも平素より映画『さなぎの猫』を応援してくださる皆様のおかげです。
ありがとうございます!
(応援してもらってるなーと思うと心が折れずに色んな映画祭に出品できるのです)


去年の映画祭なのに何故今頃?というこぼれ話を最後に少し。
実は年初の段階で早々に「浅雛拓さんが最優秀女優賞を、鳩川七海さんが最優秀男優賞を受賞しました」という連絡とその賞状を頂いていたんですが訂正して頂いてましたw
訂正にかかった時間分タイムラグが有るという次第w
…いや、でもインドの方からしたら日本名の女性・男性の区別とかそりゃ付きにくいですわな。
こっちもインド名の女性・男性とか全然判らんしw
そういう知ってるつもりでも実は違うところや知らないところが沢山ある遠い国の方たちにも観てもらえて評価してもらえたんだなぁ…と思うと何だかとても明るい気分になります。


今後も映画祭出品を続けていく予定ですので、皆様、映画『さなぎの猫』をご愛顧賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます!(←迫真





文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



www.youtube.com


www.umifilm.com

①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次審査入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
​⑦インド・コーカイ国際映画祭(2023年10月度)最優秀長編賞
​⑧日本・ABCホール関西小劇場映画祭(2023年)公式セレクション
​​⑨USA・ロイヤルチャンス映画祭(2024年)公式セレクション
⑩インド・メイ国際映画祭(2023年)最優秀男優賞(浅雛拓)・最優秀女優賞(鳩川七海)←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。


【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志


【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)

船長の航海日誌144~『さなぎの猫』米・ロイヤルチャンス映画祭にて上映

こんにちは。船長の武信です。


映画『さなぎの猫』が2024年2月1日~3日にアメリカ・ロスアンゼルスで行われたロイヤルチャンス映画祭に入選しロサンゼルスにて上映されました。

…実は映画祭の方から特に連絡や広報がなかったので「あ、入選しただけで上映はされないパターンかな」と勝手に思ってたんですが映画祭の公式インスタグラムで今朝上映されたことを知った次第www
残念ながら受賞は叶わなかったようですが現地の皆様にご鑑賞頂けたのならそれだけでとても嬉しいです。


いや、それでですね、
ぶったまげたのは上映劇場で何と此処でした!!!


ビバリーヒルズ・グランドサーバン劇場!!!
いや、ロスの劇場とか不勉強で知らなかったんですが、何だこの大きさはwww
OS劇場かよ!!!…とw
ミンスク国際映画祭の時のミンスクセントラル劇場も如何にも東欧的なシックな石造りの劇場で大概ビビりましたが、このハリウッドセレブ感スゲーwww


日本映画の長編としては唯一の上映だったみたいで、現地の評判とかも知りたかったので行きたかったなぁ…と今更思っていますが、まあ、呼ばれてても着ていく服が無いので、素直にネットで検索することにしますw
楽しんでくれてると良いなぁ♪


このブログを読んで下さっている皆様におかれましても、今後とも映画『さなぎの猫』をご愛顧賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます!





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野村有志監督作品『さなぎの猫』



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②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次審査入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
​⑦インド・コーカイ国際映画祭(2023年10月度)最優秀長編賞
​⑧日本・ABCホール関西小劇場映画祭(2023年)公式セレクション
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【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)

船長の航海日誌143~『さなぎの猫』SFよもやま話④~未知の技術

こんにちは。船長の武信です。


前回は「謎の機械(=レプリケーター)」について書きましたが、今回は宇宙人や謎の機械が使用している「未知の技術」について書きます。
今回もまた盛大にネタバレしながらのお話ですが、「観る気無いから読むわ」という方がもしおられて、読んで興味湧いたら観てください!w

宇宙人
謎の機械(=レプリケーター

最初に断っておくと今回のお話「未知の技術」はほぼ映画の内容には関係しません!
そもそも「前回までの話も映画観ただけでは判んないじゃないか!」という方も沢山おられると思いますが、映画内に登場するSF的な要素についてはたとえ説明はしなくても一定のSF設定は作ってそれに基づいた描写を入れておかないと「あ、これ何も考えてないな」って観てくれた方にバレちゃうのでこれはやらないといけない作業なのです!


…が今回の「未知の技術」は映画内で全く言及されないので今まで以上に裏側というか奥底と言うか人目につかない作業になります。ぶっちゃけやんなくても良いかも知れません。では何故わざわざやるのか?


それはもう好きだからの一言。
これは無駄な努力ではなくお楽しみの時間なのですw
庵野秀明だって『ジン・ゴジラ』撮る時「ゴジラとは何ぞや?」みたいなことムッチャ考えてたと思うんですけど、あの人は普段からそんなことしか考えてない訳で、まあ、それと同じようなもんだと思っていただけましたらwww


物理学者のロジャー・ペンロースという方がいます。
この人が提唱した「この世のものが量子で構成されているのなら、人間や動物の【精神】も量子の動きとして説明できるのではないか?」という「量子脳理論」という理論があるんですがコレがSF的には大変都合のいい有益な理論でして、上手く使うと超能力や幽霊なんかのオカルトの範疇に入りそうな現象を一定の科学的理論として説明できてしまう…という大変な優れものw
例えば遠く離れた人間同志の一方の念じたことで生じたこの精神を構成する粒子(仮に「精神子」としましょう。どの粒子がその性質を持つかは任意w)の状態と同じ量子状態がもう一人の方の体内で再現されたら「あの人は今こう考えている」と理解できてしまい、それが「テレパシー」である…とか、肉体を構成する原子や分子が崩壊しても精神子の状態がこの世の空間の何処かに維持されていてそれに触れると「ここにこういう人がいてこんな事があった!」って読み取れてしまい、人間はその現象を「幽霊」と呼ぶ…とか。


論理的かつロマンチックでなんて素敵!!!w


という訳で「猫星人はこの量子脳理論を科学技術の根底においている種族」と設定することにします。
そうするとアラ不思議、バラバラに設定した「宇宙人」「謎の機械(=レプリケーター)」を統合して、今まで説明がつかなかった出来事の説明が一定のそれらしさで出来るようになります。
例えば…


Q「花子はどうやって地球に来たのか?」
精神子を量子テレポートさせることで精神体・思念体の瞬間移動を行い、思念体が目的地に出現した段階で目的地に有る思念体物質化装置(レプリケーター)を使って実体の生成を行うことで極めて短時間で星間移動が可能になる。
量子テレポートの原理に従って元の場所の思念体は量子状態が変わってしまい消失するため、この行動は思念体そのものが複製されている訳ではなく、「生物のコピー」ではない「オリジナルの移動」となる。
このような大掛かりな星間移動を行うにはレプリケーターは確実性の高い古典チャンネルとして持ち主より先に目的地に送り込んでおく先遣を行う必要があるが、現地の思念体を記録する事の出来る物体(古くから遺跡や巨大な岩石など)を臨時の古典チャンネルに指定してレプリケーターの思念体部分を目的地に送り、その直後にレプリケーターの思念体部分がレプリケーターの物質的部分を再物質化することでこれを実行する。
この先遣は「オリジナルの移動」の前のテスト飛行としての性質も持っており、何らかの事情(現地思念体記録媒体の能力不足など)で上手く行かなかった場合にはレプリケーターは自己再生出来ず消滅する可能性もあるが、佐柳島は大天狗神社や鯨岩、そしてオリジナルに類似した生体情報としての多数の猫などの好条件に恵まれておりレプリケーターも花子も無事にワープして来ることが出来た。


…ホラ、何かそ、そうかもと思ったでしょ???w
ならば目標達成です!www
この調子で脚本上の事象のアレコレにそれらしい説明がつけれそうだな…という手応えを感じれたら、「未知の技術」に関してはそれ以上の深掘りしなくても大丈夫。
あとは純粋にお楽しみの時間としてアレヤコレやを「きっとこんな感じだぜ!」と空想していけば十分です。


Q「レプリケーターの作動エネルギーはどこから取り出しているのか?」
Q「何故登場直後のレプリケーターは千佳に反応したのか?」
Q「レプリケーターレプリケーターを作るとどうなるのか?」


…みたいな事も一応僕なりに一応考えてありますが、まあ、全部映画の内容には一切影響しないので説明は省略www


さて4回に渡ってSF設定について随分長々と書いてきましたが一先ず今回のエントリーでこの連載(的なものw)は終了です。
お読み頂いた皆様、本当にありがとうございました。
今後とも映画『さなぎの猫』をご愛顧下さいますようお願いいたします。
ではでは!<(_ _)>



【精神子制御技術】
花子の種族が自分たちの精神感応能力から「精神」を物理学の基本に置いたことで発展した、生物の精神・思念を構成する素粒子「精神子」の状態を軸にして物質・物体の制御を行う技術。
根底にある物理学的な思想は地球文明の物理学としては未だ未知の領域の多い「量子脳理論」に近く、技術的には量子テレポートやペンローズ過程の実用化に成功している。
地球では寧ろ宗教やスピリチュアルな文化との親和性が高いのではないかと思われる。






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野村有志監督作品『さなぎの猫』



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①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
ABCホール関西小劇場映画祭vol1(2023年)公式セレクション←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
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(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)

船長の航海日誌142~『さなぎの猫』SFよもやま話③~謎の機械

明けましておめでとうございます。船長の武信です。
昨年は『さようなら』『さなぎの猫』上映などで大変お世話になりました。
今年も宜しくお願い致します!


前回は「宇宙人」のSF設定について書きましたが、今回は続いて決めるべき「謎の機械」について書いていこうと思います。
今回も盛大にネタバレしながらのお話になるので未見の方はご注意ください。
「観る気無いから読むわ」という方がもしおられて読んで興味湧いたら観てください!w
なおとても長いので「読むわ」と思った方は最後まで我慢してお読み下さい!!!(←迫真

謎の機械

『さなぎの猫』のSF軸は「猫島であり限界集落でもある瀬戸内海の佐柳島に未知の科学技術で作られた謎の道具を持った宇宙人が現れたらどうなるか」なのでSF的には「謎の機械」はほぼ主役に等しい重要なガジェットです。
物語上「宇宙人」は基本的には人間に擬態しているので、この「謎の機械」が直接映像に映る存在としては一番SF感に直結するアイテムになります。
なのでSF設定は重々厳重に設定せねばなりません。
よって当然これに関しては撮影前から十分に細部を検討してSF設定を決めておく…事が出来れば良かったんですが、実は時間的な都合で詳細な設定はほぼ何も決めれないまま撮影に突入しましたw
正確には急拵えで慌てて作った設定はあったんですが完成した際には全ボツになりましたw
何だよ!結局また後付かよ!と思われると思いますがその通りです(# ゚Д゚)(←逆ギレ


とはいえ脚本上で「謎の機械」は「白いカプセルみたいな形のカバン」と明言されているのでこの形を基本に撮影前に造形の久太郎さんに野村監督のイメージや僕の急拵えの荒い設定を伝えてデザインをお願いしました。
ドラえもん』でいうところの毎回のひみつ道具に相当する存在なのでデザインも魅力的になって欲しいと思い「『ゴジラ』のオキシジェンデストロイヤーとか『太陽を盗んだ男』の原子爆弾みたいなイメージで…」とか久太郎さんには好き勝手に言ったものですが上手く反映して下さったと思います。
そして同じく脚本上で「一億円が中に入っている」ので機械の大きさもこれを基準に久太郎さんに決めて貰って実際の造形に取り掛かって頂きました。


そしてやってきたロケ出発当日。
ロケ隊の集合現場に到着した完成品の「謎の機械」を初めて見て思ったのは正直に言うと…
デカい!思ったよりデカい!!!

一億円の体積を甘く見ていましたw
横19センチ・縦32センチ・高さ20センチ(重さ10キロ)なんですよ、一億円ってw
これが収まるスペースが中に有ってかつデザイン要求を満たすとこの大きさになるのは当然だし、そもそもそういう条件で発注してるのはこちらなので完全にこちらの想像力不足なんですが、実際に物を見るとまぁまぁビビりましたw
一億円なんて見たこと無いから仕方が無いwww


…が、もう今はそれを言っても始まらないのでこの大きさを活かす方向でディテールを決めよう!と監督と決めて佐柳島へ出発です!


実際に撮影に入ってみるとこの「謎の機械」、大きさが丁度「人が持て余すくらいの大きさ」だったのが功を奏して中々上手く運べなかったり隠すにも簡単には隠しきれなかったりとその大きさを生かしたコミカルなシーンが幾つも撮れました。
『さなぎの猫」はドラマが中心の映画なのでこれはとても良かったのではないかと思います。

そしてこの機械、思ったより大きかったのを逆手に取って、開閉するシーンでは「この大きさのものが出しそうにないスピード」で開閉する(開閉機構は動力が仕込まれている訳ではないので勿論手動ですw)というのを現場で試してみた所、テストを見た関係者一同大爆笑になったのでこれも採用となりました。
要は完全に面白さ優先で撮影していった訳ですw


良いのか?
…良いんですw


『さなぎの猫』はSF設定から組み立てていく映画ではなくて先ずはドラマや物語展開の面白さがあるべき映画です。
野村監督の脚本・監督作品なんだからそこは譲れない。
とはいえ前々回から申し上げている通りこのまま特にSF設定を作らずに「何となく面白いからこれで良いだろう」と安易にここで終わらせてしまうと「適当に作ったSF映画だな」と観客の皆さんに思われてしまうのでポスプロでキチンとSF設定に基づいた描写を加えていきます。


本編をご覧になった方はご存知の通りこの「謎の機械」は実は「レプリケーター」と劇中で称される「生物以外の物体を出現させる能力」のある装置です。
ここをフワッとしたままにしておくのはSFとして致命的なのでここは絶対に設定せねばなりません。
流石にそれは初期から判っていたので、前述のように久太郎さんにデザイン依頼を出す段階で急拵えの設定を作りはしたのですが、恥を忍んで公開するとそれは↓こんなのでしたw

レプリケーター」初期設定案


……
………ありきたり
全然ありきたりで面白くない上にやっつけ過ぎwww

「適当に作った」のがバレるというのはこういう事さ!。・゚・(ノД`)・゚・。


という訳でちゃんと面白い映像効果に繋がりそうな設定をイチから考えないといけない訳ですが、ここは既に決まっている「宇宙人」の設定を踏まえてこの「謎の機械」もとい「レプリケーター」のSF設定も設定し直していきます。
この部分で筋が通せるかどうかでSFとしてのクオリティーが決まると言っても過言ではないのでここは柄にもなく頑張ります!w

レプリケーター

「宇宙人」は「地球の狸や狐のように他者に幻を見せる能力を持つ種族」と設定したので「レプリケーター」もこの延長線上にある機械のはずです。
猫星人が道具を作るなら自分たちのこの有益な能力を無視した機械を作る訳がない。
地球人の「物体を介して物質エネルギーをやりとりする機械」というよりは「精神感応能力を利用した装置」の進化形ではないか?
つまりこの「レプリケーター」は「物体の形状を読み取って物体を再現する機械」なのではなく「周囲の生命体の精神・思念を読み取ってそれを物質化する装置」なのではないか?


うむ、面白そうwww
これで行きましょう!


物質的・物体的な原理で動いておらず精神的な作用で動いているのならこの装置は作動する際もあまり機械的な音を立てるようなことは無いはず。
…なのでまずは「レプリケーター」の作動音を生物が動いている音をメインにすることが決定。
具体的には花子役の鳩川さんに猫星人の猫語っぽい台詞(感情を乗せた猫の鳴き声w)を何種類か演じて貰って、音響の浅葉さんに猫が餌を食べている時の咀嚼音とかスピリチュアルな低音とか何か良くわかんないグチュグチュした音とかを合成して貰い開閉音や作動音を作りました。
地球人には想像しにくい原理で作動しているため生理的に気持ち悪い音や非現実感のある音で構成してもらっています。
(が、ヘッドフォンや映画館の大音響でよく聞くと開く瞬間に猫が嫌そうに「うにゃ!」とか言ってたりするのが聞こえてちょっと可愛いくもありますw)


なお作動時の見た目については脚本で「音のたびに光が放たれる」と最初から決まっていたので、一応撮影時にブラックライトを当てたりハンドライトで赤い光を動かしたりして撮影しており、最終的には地球人にとっては禁忌に触れているような、より禍々しい方向性でデジタル処理して仕上げました。

該当場面

「作動時の動作」のビジュアルが決まったので次は「普段の見た目」について考えます。
スペクタクルな見せ場を重視する映像的に派手な映画(スターウォーズみたいなw)であれば普段の見た目については余り細かく考えずに作動時など派手に動く時の効果をもっと派手にして押し切るという選択肢もあるんですが、『さなぎの猫』はそういう作品ではないので普段からじわっとSF感を継続しておく方向が良いはず。そこで…


「精神感応能力を利用した装置」であるならもしかしてこれ自体が「精神感応能力に依存した存在」なのではないか?
つまり存在しているように見えているが実はそんなにハッキリと物質・物体ではなく半分くらいは思念体の性質を持って存在しているのではないか?


…と考えて明るいところでも暗いところでも常に同じくらいの光量の光を反射しているという設定を追加しました。
明るいところでも暗いところでも常にぼんやり光っている様に見えて明るさに関する第一印象が余り変わらない…という現実的にはあり得ない光り方でこの世のものなのかそうでないのか?みたいな怪しさが醸し出せたら面白いはず。
テストで暗い所にある時の「レプリケーター」の輝度を編集で限界まで上げてみた所、撮影時にブラックライトを当てていたのが功を奏して青い光を放つようになって面白かったので、これを基本のビジュアルとして採用しました。
(一応本当の反射光をデジタル処理したものなのでレプリケーター自体が発光しているようには見えてない筈w)

合成前
合成後

花子の幻影体はドラマと連動させた方が面白いのでここぞという箇所にだけ入れましたが、こちらは全カットに入れてSF感を主張していきます。
そもそもSF感が必須なお話ではなかったのを後からSFに振ったので地味ながらもSFであることを常に主張しようという魂胆ですw
やり過ぎくらいが丁度良い!!!www


これで直接画面に映る要素については「宇宙人」と合わせればほぼ満足できる数が揃うのではないか(というか後半はほぼずっと映ってるw)という分量になったので「レプリケーター」の設定も一旦ここまでにします。
あとは画面には恐らく絶対何の影響も与えないけど一応ここまでに揃った設定を組み合わせる際に必要な「猫島であり限界集落でもある瀬戸内海の佐柳島に未知の科学技術で作られた謎の道具を持った宇宙人が現れたらどうなるか」の「未知の科学技術」の部分を念のために設定すれば一先ず『さなぎの猫』のSF設定は完了。
次回はそのお話について書きたいと思います。
今回は随分長くなってしまいましたが、宜しければ引き続き読んで頂けましたら幸いです<(_ _)>


レプリケーター(思念体物質化装置)】
花子の種族が使う自分たちの精神感応能力を発展させ、幻影体を見せるだけではなく物質化して物体として現出させることが可能な装置。
基本的には所有者の要求に従って必要な情報を所有者自身や周囲の生命体の思念から読み取ってこれをマスターにした物体を現出させる。
そのため所有者が詳しく知らない物体でも周囲に十分な情報源があれば現出させることが可能。
この装置自体が思念体物質化の技術を使って思念体を凝縮して生成されているため物質としての性質と思念としての性質を併せ持って存在している。
なお自らの意思や思考を持つ様な生物(思念の発生源)を現出させることは出来ない。





文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



www.youtube.com


www.umifilm.com



①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
ABCホール関西小劇場映画祭vol1(2023年)公式セレクション←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)

船長の航海日誌141~『さなぎの猫』SFよもやま話②~宇宙人

こんばんは。船長の武信です。
前回のSFよもやま話①は映画の軸になるSF設定の方向性について書きましたが、軸が決まったので今回は細部の設定のお話です。
盛大にネタバレしながらのお話になるので未見の方はご注意ください。
「観る気無いから読むわ」という方がもしおられて読んで興味湧いたら観てくださいw



『さなぎの猫』のSF軸「猫島であり限界集落でもある瀬戸内海の佐柳島に未知の科学技術で作られた謎の道具を持った宇宙人が現れたらどうなるか」の中で具体的に設定の必要な項目は3つ。
「未知の科学技術」「謎の道具」「宇宙人」です。
『さなぎの猫』は根本が人間(宇宙人含む)ドラマなので先ずは「宇宙人」から設定しました。

宇宙人

脚本上で…

  1. 宇宙人
  2. 本来の姿は猫型
  3. 母星からたった一人で移住してきた
  4. 一億円持っている
  5. その一億円は未知の科学技術によって作られた偽札
  6. 移動手段はロケットなどではなくワームホール


…辺りは言及されているのでこれを膨らませていきます。
「膨らませていく」と書くと「後付かよ!」と思われると思いますが、まあ、その通りですw
ただ映画は物語だけで出来てる訳じゃないので、ここから膨らませたSF設定を映像に落とし込むのにこの設定をしておく必要があるのです。(理由は前回述べた通りです)


最も映像に影響するのは「本来の姿は猫型」という点。
じゃあ今画面に写っている花子は一体何なんだよ?というのは映像としてとても重要な点なのでコレを最初に決めました。
…が初手の一手なのでぶっちゃけ何でも良いと思いますwww
物体Xみたいに細胞を変形させて実際に肉体が人型に変形をしているというのもイイですし、機械のようなパーツが原型の猫に組み合わさって人体を構成しててもイイのでないでしょうか。
今回選んだのはこれ!

実体はずっと猫型のままなのだが登場人物や観客は花子に何らかの方法で人型の幻影を見せられており人だと思っている。


これを選んだ理由はズバリSF設定担当の僕の趣味ですw
「儚くてイイじゃんね?偶に幻影見せるのに失敗しちゃったりしても可愛いし!君もそう思うだろう???」…って素直に思えるのでこれを採用w
これが物体X系だとそうはならないw
失敗したらドロドロのネバグチャの汚物の塊ですよwww
嫌いじゃないけど今回はヤダwww


失敗する(しそうになる)ところを見せたかったので「どこか重要なシーンでは幻影体が消え掛かる」のを仕込もうという話になり、どこに入れるのが良いか監督と検討した結果ドラマ中心の映画なのでドラマを盛り上がらせたいシーンに入れようとなり、花子が窓から夜空を見上げながら自分の身の上を話すシーンに入れる事がまず決定。

該当場面
本体の感情が不安定になったりすると幻影体のほうも不安定になるというSF設定がここで出来た訳です。
これに関しては脚本が上がった直後くらいにサクサク決まってたのでメイクのKOMAKIさんのアイディアで花子の首筋にボロボロのキューピー人形をイメージしたラメのメイクをして貰って撮影しました。


…が、実は撮影時に「幻影体」に関してやったのはコレだけですw
良いのか?
…良いんですw
だって設定はもう出来たので後はコレを忘れないようにちゃんとポスプロでディテールに反映させて行けばw
ここは最終的には段々メイクが浮かび上がる様にデジタル処理して、上からTVのノイズのようなザッピングノイズを合成して「幻影体が不安定」の効果を作りました。
そして効果が決まったら後は「感情が不安定になると幻影体も不安定になる」べきシーンに忘れないようにこの効果を入れていきます。


ただし他の登場人物にハッキリとそれが見えてしまう様な箇所には入れる訳にはいかないし、機械的に全部のシーンに入れたりすると五月蠅いし…で最低限ここにある方が良いかなという所にだけ入れました。
さあこれで宇宙人のSF設定とその映像化は終わり!


…という訳には行きません。
最初に設定した「実体はずっと猫型のままなのだが登場人物や観客は花子に何らかの方法で人型の幻影を見せられており人だと思っている」を読んでもらった段階で「何らかの方法ってなんだ!」と多くの人が思ったと思うのですが、その通りでここを放置しておくと後々穴になりそうなのでここは考えますw
普通に思いつくのは「謎の機械に幻影を見せる能力がある」なんですけど、序盤の状態だと花子と機械は離れ離れになってるのでその設定は使えない。
…ので今回は猫星人は地球の狸や狐のように他者に幻を見せる能力を持つ種族ということにしました。
完全につじつま優先の後付けで生まれた設定ですが、設定した以上はこれも映像に反映させたほうが面白いだろ!…ということで花子自身が気づいてないせいで時々幻に手抜かりがあるというディテールを映像の方に加えてます。



具体的には花子に自覚がないせいで暗い所だと猫のように目が光ってしまっていたり、足跡が猫のままになっていたりしますw
あと監督の発案で音響の方でも花子の足音は出来るだけ抜いてもらいました。
まあ実際には足跡は最初は幻影体の不安定化の方の効果(が出来る前だったのでその簡易的なやつ)を加えてたら野村監督からNGが出たのでその代替案としてこっちの設定の方を使うように変更になったんですがw
でもこのカット個人的には可愛いらしくてミステリアスなのでとても気に入っています。
SF設定は色々考えておくに越したことはないんだよな、と思いましたw


これくらいで映像効果を入れたカットは数がそこそこ揃ったので「宇宙人」に関するSF設定はこの辺にして、次は「宇宙人」の次に重要な「謎の機械」について決めていきます。
次回はそのお話をば。
宜しければ引き続き読んで頂けましたら幸いです!



【花子(宇宙人)】
遠い異星の猫型知的生命体で地球の狸や狐のように他者に幻影を見せる精神感応能力を持つ生物から進化して文明を発達させた種族の一人。
その能力を使って本体とは違う姿の幻影体を他者に見せて他の生物に擬態する事が可能だが、精神感応能力は本体の精神状態や健康状態に左右される為、常に上手くいくとは限らず失敗することもある。
母星は滅びかけている為に他の惑星に移住する必要があり花子は一人だけ地球を選んで移住してきた。







文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



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①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
ABCホール関西小劇場映画祭vol1(2023年)公式セレクション←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)

船長の航海日誌140~『さなぎの猫』SFよもやま話①~SFの軸

こんにちは。船長の武信です。


映画『さなぎの猫』ABCホール関西小劇場映画祭vol1での上映が無事に終了しました。
ABCホールでのDCP上映は滅茶苦茶設備と調整の良い状態の上映でとても感激しました。
急遽決まった企画ということも有り観客席は少し寂しい状態でしたが、ご来場いただいた皆さま、関係者の皆様、お気にかけて頂いた皆様、本当に有難うございます!

これで年内の『さなぎの猫』の上映は全て終了し、一先ず次の上映が決まるまでは上映予定も現在の所白紙。
…なのでちょっとネタバレも含めたよもやま話などをボチボチしてみようかと思います。
先ずはアフタートークなどでもほぼ触れなかったSF関係のお話などから。


ご覧になった方はご存知かと思いますが『さなぎの猫』は人間ドラマが中心の映画で、実はSF要素はそんなにガッツリ描かなくてもフワッとしたファンタジーとして作っても成立させれる映画です。
僕は映画を作る際にはドラマ(心情の変化)とストーリー(出来事の変動)を分けて考える方なんですが、この脚本はメインになるのがドラマなのでストーリー部分は実は結構自由度が高いのです。
…自由度が高いのなら好きなことをやろうじゃないか!!!
ということでSF要素をフワッと済ませるのではなくゴリゴリに設定する方向に舵を切った次第w
ドラマ部分は野村監督や俳優陣を絶大に信頼しているし、そもそも変に口出ししない方が面白くなるだろうし、自分はそれ以外のことをやろう…というのもありましたw

「SF要素は描かなくても成立させれる映画」って言いましたが、舵を切ると決めた以上はSF要素については真面目に考える事が必要です。
台詞や演技で言及されることは絶対に無いと判っていてもゴリゴリにSF設定は組まなければなりません。
…何かね、バレるんですよ、SFなのにSF設定無しで雰囲気で作るとw
台詞などで説明するか否かに関わらず作ってる側がその世界の設定を守りながら作らないとバレていい加減にやってる印象を与えるし、同じ「SF」でも「サイエンスフィクション」ではなく「少し不思議」になっちゃう。
今回僕がやりたいのは「少し不思議」では無いのだw


そして「SF」で行くと決めたら次はどんなSFにするか?という軸になる部分を決めなければいけません。
それを決めないと方向があっちこっちいって結局ふわっとしたものになっちゃうのでw
「SF」の定義は滅茶苦茶幅広くて、何だったら神話や民話もその範疇だし逆にゴリゴリの科学概念そのものが主体になるような物もあったりするのですが、この作品の「SF」の定義は原義的な定義の一つである「現実世界に非現実の科学技術があったらどうなるか?」を採用しました。
「一般的に連想しやすい非現実のガジェットが登場する」という指標も。
つまり「猫島であり限界集落でもある瀬戸内海の佐柳島(←現実)に未知の科学技術で作られた謎の道具を持った宇宙人が現れたら(←非現実)どうなるか」をSFとしての軸に設定しました。
ここは脚本を読んだ段階でそもそもそういうお話だったので自明的に決まったようなものですw


軸が決まったら次は細部の設定になるのですが、この軸の中で具体的に設定の必要な項目は3つ。
「未知の科学技術」「謎の道具」「宇宙人」です。
科学概念的な理論メインのお話だったら「未知の科学技術」、視覚的なスペクタクル重視の映画だったら「謎の道具」から優先的に設定するのが良いのですが、『さなぎの猫』は人間ドラマ中心の映画なので先ずは「宇宙人」から設定していくことになります。
この映画では宇宙人も人間なので!w

宇宙人

…が、少し長くなったので各項目の具体的な話は年末年始あたりにかけて連載的に書いていこうと思います。
よろしければ続きもお読みください~<(_ _)>





文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



www.youtube.com


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①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
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【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)