U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌47~演出裏話2「前半後半」

こんばんは、船長の武信です。
大分、日常に復帰してきましたが、未だに仕事のメールを関係のない所に送ったりとか、支障をきたしたまま生活しておりますw
そろそろシャンとしないとヤバイwww
今回は上映会が終わったら具体的にしますと言って放置していた「前半と後半の技法の違い」について、そろそろ書いておかないとこのまま機会消失しそうなので書きますw

 

ご覧になった方には一目瞭然ですが、『その日、恋は落ちてきた』は前半と後半で大きく雰囲気が違います。
これ、どうやったかというと別に製作スタッフの気分の問題とかではなく、明確に撮影方法が違います。当然ですがw

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前半は人工的なアングルと作為的なカット割りで進行するかなり古典的な映画の演出技法で撮影しております。
殆ど全てのカットがカット単位の撮影で事前に準備してある絵コンテに従ってカメラ位置を決め、照明を配置します。
カメラは一台きりなので、グループショット・卯月UP・先輩UP・後輩UP…などといったアングル変更のたびに俳優陣に同じ演技を繰り返してもらい撮影する方法です。
俳優さんたち、やりにくかったやろうなーwww
加えて照明もカットごとに変わります。
リアルに考えるとそこにありえない光とか、さっきまで無かった光とかが登場します。

…その場さえ良ければそれで良いのだ!リアルさとか知らんwww

この撮影方法はほぼ絵コンテの段階で映像の構成が決まってしまうので絵コンテの果たす役割がとても重要です。

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ご覧の通りほぼ漫画ですねw
因みにこれは舞台版脚本から直接起こした最初期の絵コンテです。

この撮影方法だとカットとカットが組み合わさることでようやく物語が構築されるので今回のような「食い違っている主観と客観がぐちゃぐちゃに混じり合っていく」みたいな映画は非常に作りやすい。
というか寧ろ必須なんじゃないのかな。

 

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 転じて後半は基本的には決めの絵はこのアングルでこのサイズとかだけ決めて絵コンテ描かずにシーケンス単位で実際の場所で実際に俳優に演じてもらったものを複数のカメラを同時に回してどちらかというと「実際にその場所で起っていることを記録する」というスタンスで撮影する方法を採りました。
照明も作為的なものは極力排除して自然光メインで行ってます。
この撮影方法の利点は「リアルさが強調できる」という点です。

本当にやってるので当たり前ですがwww
写真の着替えのシーンとかリハーサルなしの一発撮りだぜ!!!

後半でこの手法を採用したのはひとえに「主人公が現実を再認識する」という物語上の展開を強調するためで、ヒロインのリアルな心情でなければこの映画終わらないんですよね。
ワタクシ、映画を作るときには「ストーリー(筋書)」と「ドラマ(心情)」を分けて考えて二本の柱として扱う傾向があるのですが、『その日、恋は落ちてきた』は山の頂上に着くまでがストーリーで、そこから先はストーリーは展開する訳ない(舞台を単純な山頂でなく崖に設定したのはその意味。この先はない。)ので、あとはドラマの決着をつけることでしか終わらないのですw


おかげで丹下ちゃんにはラストシーンは丸々と丸投げして映画の着地点を完全にお任せするという無茶をやらかすことになりましたが、撮影の最初期の段階から既に「ラストシーンは丹下ちゃんに任せるしかないでしょうね」みたいに言ってたし、実際に丹下ちゃんに任せて良かったと思っています。
…実はエピローグ的なカット撮影してあったけど全部切ったんですよねw

この映画があのカットで終われて本当に良かったと思っています。

 

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