U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌57~『遺言』の映像

こんにちは。船長の武信です。

一応撮影監督なので撮影の前には当然「絵」としてのプランを立てる訳ですが、今回の『遺言』は延命さんから送られてきたロケ場所候補の写真が目茶苦茶良かったので、絵の雰囲気もそれを軸に考えることにしました。

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脚本では家の内装は定義されてないので、新築の洋風マンションのリビングとかでも設定できちゃうし、そうなると映画の雰囲気もガラッと変わるのですが、ロケ地候補の写真を見た瞬間にこのお話の登場人物たちの背景は「和風の大広間」のイメージで決定w

となると次にかんがえるのは、さてこの場所で撮影するとして、家族のお話だし照明や現像の色味はどうしようかな~…とか言うことな訳です。
「お通夜」の話とはいえ、家族のお話だし、コメディだし、やっぱりほんわかした暖色系かな~?

とか考えている時に中野さんから送られてきた映像用に改定された脚本を読むと「家系図を写す」というト書きが加えられてりじゃありませんか!

「遺言」「和風の大広間」「お通夜」「家系図」とくれば思い浮かぶのはアレしか無い!!!



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…という訳で映像は寒色系のコントラストきっつい映像に大決定www


…実際の撮影現場はこんな感じになりましたwww


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やれば結構出来るもんだべwww
仏壇も掛け軸もフットライトでビカビカ光らせてこれでもかと日本家屋のディティールを強調、登場人物の照明もそれに合わせてディフューザー無しの直接光だ!!!www

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↑このカットとか俳優の皆さんの後ろにはむき出しの直管LEDが並んでますwww


真面目な話もするとこの映画の物語は脚本と監督が、登場人物の感情は俳優陣がそれぞれ主軸になって分担して構築しているので、映像単体でも何か筋の通ったものを表現して別レイヤーとしての面白さをプラスしたかったのですが、それはこの物語が展開される空間を単なる空間ではなく「物語の一部、登場人物の一人」として扱うことでした。
こういう「物語やドラマとは別の軸で筋の通った表現」って映画の映像にはとても大事だと思ってます。
「家族の集う場所」としての田舎の家、引いては「おじいちゃんの存在」を暗示し続けるにはこの撮影方法で良かったんじゃないかな。



季刊ライトシネマ冬号・中野守監督作品『遺言』は12月22日20:00までアーカイブ配信中です!
面白そうだなと思った方は皆さま是非御覧ください!

アーカイブ配信のチケットご購入はこちら】

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/155

 

 

船長の航海日誌56~中野守という監督

季刊ライトシネマ2020冬号・中野守監督作品『遺言』無事に上映会終了致しました!

ご来場いただいた皆様、配信をご覧いただいた皆様ありがとうございます!

 

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帰宅後、完成まで観返すのを封印してた舞台版『遺言』の舞台映像を観直しました。
ほぼ同じ脚本なのに印象が全然違っててビビりましたwww

こんなに違ってたっけ???w

観てない方は舞台版も是非!!!『会議家族』『趣味と実害』の中の一遍として収録されてます♪


一番違うなと感じたのはそもそものお話の位置づけ。
舞台で上演される時は短編集の最後の一本として上演されることが多いのでサクッと始まってひと仕切りの騒動の後スパッと終わる歯切れの良い印象なのですよね、この作品。
この作品の前に上演されてた短編のディテールがちょこちょこ登場したりもして結びの一本に相応しい作りになってる。

ところが映画版は一本立ての短編なのでここを変えなければいけないw
独立したお話として始まって終わらなければならない。
脚本自体は殆ど同じなのにこれをちょっとした改変だけでやってる訳です。
監督・脚本の中野さんのバランス感覚と俳優陣の演技のさじ加減凄い!!!

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中野さんって幾何学的な模様を描く…みたいな創作感覚で作品を創る人なのかもなと思いました。

読み合わせやリハ、撮影プランの設定などの段階で俳優さんたちや撮影陣からそれぞれのパートに関するアイディアが当然色々出て来るんですが、中野さんが「No!」っていうことが基本的には無い。
根底が覆るような無茶なアイディアはきっと「No!」なはずですが、流石にそんな事する人も居ないので、一見すると取捨選択してない印象を抱く人もいるんじゃないかというほどアイディアが通るw

そういうアイディアをどこにどうやって配置したら全体が綺麗な模様になるのかな?…ということを楽しみながら考えて創ってる印象。
綺麗な色のついた砂を一粒づつ並べてカラフルな紋様を描く…みたいな創作観なのかも知れません。
そうだとしたら割と珍しいタイプの作家さんなので貴重な体験だったと思うし、アイディア盛り盛りで参加できるのでめちゃくちゃ楽しかったです♪

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今回の『遺言』はアフタートークも含めて12月22日20:00までアーカイブ配信されてます。
ご興味ある方は是非ご鑑賞ください!

アーカイブ配信のチケットご購入はこちら】

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/155



船長の航海日誌55~マルチカメラ撮影のお話

こんにちは!船長の武信です。

いよいよ明日季刊ライトシネマ冬号・中野守監督作品『遺言』上映です。
前回の秋号・竜崎だいち監督作品『逡巡レインボー』とは全く違う方向性の作品に仕上がっているのですが、撮影監督(内容じゃなくて映像そのもの監督する人だとざっくり思ってもらえたらOKですw)的な視点から言うと、そもそも撮影方法からして全く違えていました。

『逡巡レインボー』はオーソドックスな予め絵コンテを描いてワンカット毎に撮影していく方法で、こちらは絵画的な構図を決め打ちで撮影する時に向いた方法です。
全編キラーショットみたいな作品を目指したいならこちらがオススメ。

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一方、今回の『遺言』は基本的にはコンテを描かずマルチカメラで4台一斉に回して収録し、何ターンか繰り返してもらって必要な素材が揃ったらそのシーケンスは完了…という方法で撮影しました。
単純に計算すると1回OKが出たら4通りのOKカットが揃うので、3回OKが出たら12通りもOK素材が集まるという撮り方ですw

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この撮影方法は俳優さんの演技に乗っかって臨場感溢れる編集で映像を組む事が目的で、ぶっちゃけ1カット1カットがどんな絵になるかはよく判らないままに撮影が進行していく事もあります。
…というか下手にどうなるか判るより判らん時の方が臨場感出たりするw

広範囲の屋外撮影などではこの撮り方をすると照明が大規模になったり、制御できない要素(通行人とか天候とかw)が増えるので、予算がいくら有っても足りなくなって小規模予算の映画では非効率的ですが、ワンシュチエーションの室内劇とかだと逆に低予算で撮影日数が少な目でも厚味のある映像が作れます。

実はこの撮影方法はお陰様で先日好評の内に配信が終了したばかりのP・T企画『名探偵たちの白昼夢』で導入してみて非常に効果的だったので『遺言』でも採用してみました。

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長めのシーケンスを何度も繰り返して撮影することになるので慣れてない俳優さんだと負担大きいかも知れませんが、舞台俳優さんがメインの作品だと皆さん普段からやってる事なので結果こっちの方が撮影速度も早くなったりもしますし、何より群像劇的にそれぞれの俳優さんが自律的に動いてると、こちらの予想を上回る面白い素材が無茶苦茶沢山手に入るんですよねw
P・T企画然り、中野劇団然り。

というわけで映像作品を作ろうと思ってる舞台人の方、この方法おすすめですよ!w

笑いに貪欲な中野劇団と客演の俳優さんの演技、理性的な中野監督の脚本と演出、それらが細かく沢山積み上がった物凄く重厚な映画になっている『遺言』、無茶苦茶主白いので是非御覧ください!!!
(…あ、内容は大変軽めですw 念の為www)



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【あらすじ】
お通夜の夜、人生ゲームで遺産配分を決めろという遺言で揉めまくるとある家族のハイスピード・ハイテンション会議ムービー!

【監督】
中野守(中野劇団)

【撮影監督】
武信貴行(U.M.I Film makers) 

【出演】
三条上ル
真野絵里
桐山泰典
川原悠
延命聡子(以上、中野劇団) 土肥希理子
長橋秀仁
神藤恭平(DanieLonely)
北川啓太


【詳細】
日時:2020年12月8日(火)20時~

場所:大阪 日本橋 インディペンデントシアター1st
   (大阪市営地下鉄堺筋線 恵美須町駅 1A出口 右手(北)8分)

料金:一般2000円 学生1000円
*本編35分+アフタートーク20~30分

上映会&トーク 

https://www.quartet-online.net/ticket/nakanoyuigon


LIVE&アーカイブ配信

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/155

船長の航海日誌54~大阪府外出自粛要請に関する季刊ライトシネマ冬号 中野守監督作品『遺言』のお知らせ

こんにちは。船長の武信です。

去る2020年12月3日に">大阪府から新型コロナウイルスの感染拡大で独自に設けた「大阪モデル」で府民に対し、今月15日まで不要不急の外出の自粛要請が発表されました。

12月8日20時から開催予定の季刊ライトシネマ冬号中野守監督作品『遺言』上映会も外出自粛要請期間中に当てはまりますが、場内のアルコール消毒や換気など感染症対策を徹底した上で予定通りの開催とさせて頂きます。

ご来場のお客様におかれましてはマスクのご着用、受付時の検温・手指のアルコール消毒にご協力くださいませ。
また万が一感染者・濃厚接触者が発生した場合の追跡用に予約時もしくは受付時のどちらかでお名前と電話番号及びメールアドレスを頂戴いたします。

お手数を致しますが何卒宜しくお願い申し上げます。


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【あらすじ】
お通夜の夜、人生ゲームで遺産配分を決めろという遺言で揉めまくるとある家族のハイスピード・ハイテンション会議ムービー!

【監督】
中野守(中野劇団)

【撮影監督】
武信貴行(U.M.I Film makers) 

【出演】
三条上ル
真野絵里
桐山泰典
川原悠
延命聡子(以上、中野劇団)

土肥希理子
長橋秀仁
神藤恭平(DanieLonely)
北川啓太


【詳細】
日時:2020年12月8日(火)20時~

場所:大阪 日本橋 インディペンデントシアター1st
   (大阪市営地下鉄堺筋線 恵美須町駅 1A出口 右手(北)8分)

料金:一般2000円 学生1000円
*本編35分+アフタートーク20~30分

上映会&トーク 

https://www.quartet-online.net/ticket/nakanoyuigon


LIVE&アーカイブ配信

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/155



 

船長の航海日誌53~季刊ライトシネマ冬号 中野守監督作品『遺言』開催のお知らせ

こんにちは。
船長の武信です。
本日は重大なお知らせ!
間もなく季刊ライトシネマ冬号 中野守監督作品『遺言』が開催予定です!

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【あらすじ】
お通夜の夜、人生ゲームで遺産配分を決めろという遺言で揉めまくるとある家族のハイスピード・ハイテンション会議ムービー!

【監督】
中野守(中野劇団)

【撮影監督】
武信貴行(U.M.I Film makers) 

【出演】
三条上ル
真野絵里
桐山泰典
川原悠
延命聡子(以上、中野劇団)

土肥希理子
長橋秀仁
神藤恭平(DanieLonely)
北川啓太


【詳細】
日時:2020年12月8日(火)20時~

場所:大阪 日本橋 インディペンデントシアター1st
   (大阪市営地下鉄堺筋線 恵美須町駅 1A出口 右手(北)8分)

料金:一般2000円 学生1000円
*本編35分+アフタートーク20~30分

上映会&トーク 

https://www.quartet-online.net/ticket/nakanoyuigon


LIVE&アーカイブ配信

https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/155


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中野劇団と客演陣のチームワークがハイテンポでこれでもかと堪能できる無茶苦茶楽しい映画になりそうです。

皆様のお越し・ご鑑賞をお待ち致しております!!!



船長の航海日誌52~「季刊ライトシネマ」始めてます

ご無沙汰しております。
船長の武信です。

さて『その日、恋は落ちてきた』の上映以来放置になっていたU.M.I Fikm makersの当ブログですが、実は2020年秋から新しいイベントを開始しておりまして、そろそろこちらのブログも再始動しようかなと思っています。

新しいイベントの名前は「季刊ライトシネマ」と言います。

應典院で行われていた「マンスリーライトシネマ」の後続企画として、インディペンデントシアター1stで3ヶ月に一回、今度は新作映画を上映する…という企画で、いちばん大事にしてるコンセプトは「気軽に作って気軽に上映すれば良いんじゃないの?」ですw
だから「ライトシネマ」なんだぜ!

なんかインディペンデント映画っていうとちょっと大事になることが多いんですが、もっとふわっとやっても良いと思うんですよ、昨今の映像環境の変化や機材の進化を考えると。

監督には「映画撮ってみたいな~」と思ってる人をお迎えし、武信が撮影監督を担当してパッとさっと短編映画を作って上映するイベントです。
お客様も気軽にふらっと観て頂いて「ほう、こんな映画もあるんだ!」と思ってもらえたらそれが最高。

実は第一回はもう既に終わりました(←ヲイ

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竜崎だいち監督作品『逡巡レインボー』

2020年9月28日にインディペンデントシアター1stで上映、観劇三昧LIVEで配信でした。
コロナの影響で30席限定でしたがお陰様で満席のお客様にお越しいただいてのお披露目が出来ました。
ありがとうございます。

次回以降の「季刊ライトシネマ」の情報に加えてこちらの作品の回顧話なんかもつらつら書いていけたらと思いますのでご興味ある方はまた時々覗きに来て下さい。

よろしくお願いいたします<(_ _)>

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船長の航海日誌51~間もなく新編集版お目見えです

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こんにちは、船長の武信です。

『その日、恋は落ちてきた』新編集版の上映会はいよいよ来週火曜日。
先日、無事に【新編集版】完成しました!
最終尺は63分。
初上映版より4分ほど短くなっています。
たかが4分ですが、されど4分。ウルトラマンなら出てきて帰ってる時間!

勿論単に短縮しただけではなく、追加カットやリテイクなども沢山あるので結構印象が変わっているのではないかなー。

実際に作業を始めると事前に想定していたよりも編集を変えた場所が多く、音楽や効果音の入れ直しなども行ったため、意外な大工事になってしまいましたが、おかげで初めてこの作品をご覧になる方は勿論、前回までのバージョンをご覧になった方も新鮮な気持ちで楽しんで頂ける作品になったのではないかと自負しております。

そしてそして!
上映会には主演の丹下ちゃんを招いてのトークセッションも開催!
作品にまつわるトークは勿論、追加撮影に関する裏話などもする予定です。
監督としては再編集にあたって何を主に変えようと思ったのか…みたいなちょっと真面目話もしたいところ!w

皆様、お忙しいとは思いますが、是非ともご鑑賞のほど何卒よろしくお願いいたします!

 


【詳細】▼

應典院マンスリーライトシネマvol.5 『その日、恋は落ちてきた(新編集版)』上映&トーク

【日時】2019年7月9日(火)19:30~(開場は30分前から)

【場所】浄土宗應典院 本堂 

【料金】

  • 一般:1,000円
  • 学生:500円
  • 應典院寺町倶楽部会員:500円
  • 應典院寺町倶楽部会員(学生会員): 無料

【上映時間】本編63分 本編上映後に主演の丹下真寿美・監督の武信貴行による30分ほどのトークセッション開催

【ご予約】カルテット・オンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/omlc

詳細▼
http://umifilm.hatenablog.com/

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