こんにちは。船長の武信です。
一応撮影監督なので撮影の前には当然「絵」としてのプランを立てる訳ですが、今回の『遺言』は延命さんから送られてきたロケ場所候補の写真が目茶苦茶良かったので、絵の雰囲気もそれを軸に考えることにしました。
脚本では家の内装は定義されてないので、新築の洋風マンションのリビングとかでも設定できちゃうし、そうなると映画の雰囲気もガラッと変わるのですが、ロケ地候補の写真を見た瞬間にこのお話の登場人物たちの背景は「和風の大広間」のイメージで決定w
となると次にかんがえるのは、さてこの場所で撮影するとして、家族のお話だし照明や現像の色味はどうしようかな~…とか言うことな訳です。
「お通夜」の話とはいえ、家族のお話だし、コメディだし、やっぱりほんわかした暖色系かな~?
とか考えている時に中野さんから送られてきた映像用に改定された脚本を読むと「家系図を写す」というト書きが加えられてりじゃありませんか!
「遺言」「和風の大広間」「お通夜」「家系図」とくれば思い浮かぶのはアレしか無い!!!
…という訳で映像は寒色系のコントラストきっつい映像に大決定www
…実際の撮影現場はこんな感じになりましたwww
↓
やれば結構出来るもんだべwww
仏壇も掛け軸もフットライトでビカビカ光らせてこれでもかと日本家屋のディティールを強調、登場人物の照明もそれに合わせてディフューザー無しの直接光だ!!!www
↑このカットとか俳優の皆さんの後ろにはむき出しの直管LEDが並んでますwww
真面目な話もするとこの映画の物語は脚本と監督が、登場人物の感情は俳優陣がそれぞれ主軸になって分担して構築しているので、映像単体でも何か筋の通ったものを表現して別レイヤーとしての面白さをプラスしたかったのですが、それはこの物語が展開される空間を単なる空間ではなく「物語の一部、登場人物の一人」として扱うことでした。
こういう「物語やドラマとは別の軸で筋の通った表現」って映画の映像にはとても大事だと思ってます。
「家族の集う場所」としての田舎の家、引いては「おじいちゃんの存在」を暗示し続けるにはこの撮影方法で良かったんじゃないかな。
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