U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌140~『さなぎの猫』SFよもやま話①~SFの軸

こんにちは。船長の武信です。


映画『さなぎの猫』ABCホール関西小劇場映画祭vol1での上映が無事に終了しました。
ABCホールでのDCP上映は滅茶苦茶設備と調整の良い状態の上映でとても感激しました。
急遽決まった企画ということも有り観客席は少し寂しい状態でしたが、ご来場いただいた皆さま、関係者の皆様、お気にかけて頂いた皆様、本当に有難うございます!

これで年内の『さなぎの猫』の上映は全て終了し、一先ず次の上映が決まるまでは上映予定も現在の所白紙。
…なのでちょっとネタバレも含めたよもやま話などをボチボチしてみようかと思います。
先ずはアフタートークなどでもほぼ触れなかったSF関係のお話などから。


ご覧になった方はご存知かと思いますが『さなぎの猫』は人間ドラマが中心の映画で、実はSF要素はそんなにガッツリ描かなくてもフワッとしたファンタジーとして作っても成立させれる映画です。
僕は映画を作る際にはドラマ(心情の変化)とストーリー(出来事の変動)を分けて考える方なんですが、この脚本はメインになるのがドラマなのでストーリー部分は実は結構自由度が高いのです。
…自由度が高いのなら好きなことをやろうじゃないか!!!
ということでSF要素をフワッと済ませるのではなくゴリゴリに設定する方向に舵を切った次第w
ドラマ部分は野村監督や俳優陣を絶大に信頼しているし、そもそも変に口出ししない方が面白くなるだろうし、自分はそれ以外のことをやろう…というのもありましたw

「SF要素は描かなくても成立させれる映画」って言いましたが、舵を切ると決めた以上はSF要素については真面目に考える事が必要です。
台詞や演技で言及されることは絶対に無いと判っていてもゴリゴリにSF設定は組まなければなりません。
…何かね、バレるんですよ、SFなのにSF設定無しで雰囲気で作るとw
台詞などで説明するか否かに関わらず作ってる側がその世界の設定を守りながら作らないとバレていい加減にやってる印象を与えるし、同じ「SF」でも「サイエンスフィクション」ではなく「少し不思議」になっちゃう。
今回僕がやりたいのは「少し不思議」では無いのだw


そして「SF」で行くと決めたら次はどんなSFにするか?という軸になる部分を決めなければいけません。
それを決めないと方向があっちこっちいって結局ふわっとしたものになっちゃうのでw
「SF」の定義は滅茶苦茶幅広くて、何だったら神話や民話もその範疇だし逆にゴリゴリの科学概念そのものが主体になるような物もあったりするのですが、この作品の「SF」の定義は原義的な定義の一つである「現実世界に非現実の科学技術があったらどうなるか?」を採用しました。
「一般的に連想しやすい非現実のガジェットが登場する」という指標も。
つまり「猫島であり限界集落でもある瀬戸内海の佐柳島(←現実)に未知の科学技術で作られた謎の道具を持った宇宙人が現れたら(←非現実)どうなるか」をSFとしての軸に設定しました。
ここは脚本を読んだ段階でそもそもそういうお話だったので自明的に決まったようなものですw


軸が決まったら次は細部の設定になるのですが、この軸の中で具体的に設定の必要な項目は3つ。
「未知の科学技術」「謎の道具」「宇宙人」です。
科学概念的な理論メインのお話だったら「未知の科学技術」、視覚的なスペクタクル重視の映画だったら「謎の道具」から優先的に設定するのが良いのですが、『さなぎの猫』は人間ドラマ中心の映画なので先ずは「宇宙人」から設定していくことになります。
この映画では宇宙人も人間なので!w

宇宙人

…が、少し長くなったので各項目の具体的な話は年末年始あたりにかけて連載的に書いていこうと思います。
よろしければ続きもお読みください~<(_ _)>





文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



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www.umifilm.com



①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
ABCホール関西小劇場映画祭vol1(2023年)公式セレクション←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)