U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌06~「見てくれ」のお話

おはようございます。船長の武信です。

 

映画っていうのは、まあ、しばしば「総合芸術」なんて言われたりしますが、これ格好良い言い方ではあっても、非常に本質を見えにくくする曖昧な言い方でもあります。
…実際の所、一番比重が大きいのは「視覚」なんで、ちゃんと「視覚の芸術」だと思って作ったほうが良いんじゃないのかなぁ…というのが持論です。
そもそも「触覚」「嗅覚」は4DXならかろうじて存在しますが「味覚」なんか皆無だしなw

 

…で、「視覚」ちゅうのは何かというと、要は「見てくれ」のことなんですが、撮影にあたってはひたすらこれを制御する事を考えている訳です。
ロケ先の風景なんかも「実際にどういう場所であるか」を捉えようとはせずに「どう写るのか」を重視して本物の風景とは全く違う印象になるように操作して撮影してしまうことが良くあります。
同じ場所の風景画でも撮影方法によって全く違う印象の風景に観せることが可能…というか印象を制御するために違う風景に見えるような撮り方を選択するのが「映像演出」なんですな。

 

…何で唐突にこんな話を始めたかというと下の記事で紹介されている映画『あなたに会えたらよかった』は私が撮影監督を務めさせてもらったのですが、この「風景の見え方」の演出が割と上手く出来たんじゃないかと自負しているので「皆、観てくれ!」という、そういうような事が言いたいからです!w

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加太の海。
背景が全て水面に見える撮影と、実際の視覚に近い水面や対岸の風景が見える撮影。
上は望遠レンズ、下は標準的なズームレンズで広角気味に撮影したもの。
川末さんの演じる主人公の主観だと「海で不思議な女性と出会う」シーンなので、なら海と女性以外は存在しないだろう…という解釈の元、このような撮影になっています。

 

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桂川
夢の世界での「ラストシーン」と現実世界での「ラストシーン」。
夢の世界は二人だけの空間なのであらゆる風景が一枚の画にギュッと圧縮されて収まっている印象が欲しい。
その為に超望遠で500mくらい離れて撮影してます。
この撮影方法だと距離感が喪失するんですな。
奥の道路も実際には俳優の二人から更に500mほど離れた場所にあります。
俳優の二人に指示を出した監督がカメラの傍に帰ってくるのに何分か掛かってて笑いましたw

一方の現実世界の方は超広角で至近距離から撮影。
実はこちらの画はカメラから俳優の距離は一番離れた状態で10m有るか無いか位しかありません。
「この世界には二人以外の要素も沢山ある」ということを視覚的に一発で見せるために可能な限りの要素を只っ広い印象で写し込もうとしてこういう撮影を選びました。
開放感が上手く出せたのではないかと思っています。

『その日、恋は落ちてきた』でも、こういう技法を上手く活かして皆さんに楽しんで貰える映画にしたいなぁ…と考えております。
…さて、どうなりますやら♪

 

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