U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌143~『さなぎの猫』SFよもやま話④~未知の技術

こんにちは。船長の武信です。


前回は「謎の機械(=レプリケーター)」について書きましたが、今回は宇宙人や謎の機械が使用している「未知の技術」について書きます。
今回もまた盛大にネタバレしながらのお話ですが、「観る気無いから読むわ」という方がもしおられて、読んで興味湧いたら観てください!w

宇宙人
謎の機械(=レプリケーター

最初に断っておくと今回のお話「未知の技術」はほぼ映画の内容には関係しません!
そもそも「前回までの話も映画観ただけでは判んないじゃないか!」という方も沢山おられると思いますが、映画内に登場するSF的な要素についてはたとえ説明はしなくても一定のSF設定は作ってそれに基づいた描写を入れておかないと「あ、これ何も考えてないな」って観てくれた方にバレちゃうのでこれはやらないといけない作業なのです!


…が今回の「未知の技術」は映画内で全く言及されないので今まで以上に裏側というか奥底と言うか人目につかない作業になります。ぶっちゃけやんなくても良いかも知れません。では何故わざわざやるのか?


それはもう好きだからの一言。
これは無駄な努力ではなくお楽しみの時間なのですw
庵野秀明だって『ジン・ゴジラ』撮る時「ゴジラとは何ぞや?」みたいなことムッチャ考えてたと思うんですけど、あの人は普段からそんなことしか考えてない訳で、まあ、それと同じようなもんだと思っていただけましたらwww


物理学者のロジャー・ペンロースという方がいます。
この人が提唱した「この世のものが量子で構成されているのなら、人間や動物の【精神】も量子の動きとして説明できるのではないか?」という「量子脳理論」という理論があるんですがコレがSF的には大変都合のいい有益な理論でして、上手く使うと超能力や幽霊なんかのオカルトの範疇に入りそうな現象を一定の科学的理論として説明できてしまう…という大変な優れものw
例えば遠く離れた人間同志の一方の念じたことで生じたこの精神を構成する粒子(仮に「精神子」としましょう。どの粒子がその性質を持つかは任意w)の状態と同じ量子状態がもう一人の方の体内で再現されたら「あの人は今こう考えている」と理解できてしまい、それが「テレパシー」である…とか、肉体を構成する原子や分子が崩壊しても精神子の状態がこの世の空間の何処かに維持されていてそれに触れると「ここにこういう人がいてこんな事があった!」って読み取れてしまい、人間はその現象を「幽霊」と呼ぶ…とか。


論理的かつロマンチックでなんて素敵!!!w


という訳で「猫星人はこの量子脳理論を科学技術の根底においている種族」と設定することにします。
そうするとアラ不思議、バラバラに設定した「宇宙人」「謎の機械(=レプリケーター)」を統合して、今まで説明がつかなかった出来事の説明が一定のそれらしさで出来るようになります。
例えば…


Q「花子はどうやって地球に来たのか?」
精神子を量子テレポートさせることで精神体・思念体の瞬間移動を行い、思念体が目的地に出現した段階で目的地に有る思念体物質化装置(レプリケーター)を使って実体の生成を行うことで極めて短時間で星間移動が可能になる。
量子テレポートの原理に従って元の場所の思念体は量子状態が変わってしまい消失するため、この行動は思念体そのものが複製されている訳ではなく、「生物のコピー」ではない「オリジナルの移動」となる。
このような大掛かりな星間移動を行うにはレプリケーターは確実性の高い古典チャンネルとして持ち主より先に目的地に送り込んでおく先遣を行う必要があるが、現地の思念体を記録する事の出来る物体(古くから遺跡や巨大な岩石など)を臨時の古典チャンネルに指定してレプリケーターの思念体部分を目的地に送り、その直後にレプリケーターの思念体部分がレプリケーターの物質的部分を再物質化することでこれを実行する。
この先遣は「オリジナルの移動」の前のテスト飛行としての性質も持っており、何らかの事情(現地思念体記録媒体の能力不足など)で上手く行かなかった場合にはレプリケーターは自己再生出来ず消滅する可能性もあるが、佐柳島は大天狗神社や鯨岩、そしてオリジナルに類似した生体情報としての多数の猫などの好条件に恵まれておりレプリケーターも花子も無事にワープして来ることが出来た。


…ホラ、何かそ、そうかもと思ったでしょ???w
ならば目標達成です!www
この調子で脚本上の事象のアレコレにそれらしい説明がつけれそうだな…という手応えを感じれたら、「未知の技術」に関してはそれ以上の深掘りしなくても大丈夫。
あとは純粋にお楽しみの時間としてアレヤコレやを「きっとこんな感じだぜ!」と空想していけば十分です。


Q「レプリケーターの作動エネルギーはどこから取り出しているのか?」
Q「何故登場直後のレプリケーターは千佳に反応したのか?」
Q「レプリケーターレプリケーターを作るとどうなるのか?」


…みたいな事も一応僕なりに一応考えてありますが、まあ、全部映画の内容には一切影響しないので説明は省略www


さて4回に渡ってSF設定について随分長々と書いてきましたが一先ず今回のエントリーでこの連載(的なものw)は終了です。
お読み頂いた皆様、本当にありがとうございました。
今後とも映画『さなぎの猫』をご愛顧下さいますようお願いいたします。
ではでは!<(_ _)>



【精神子制御技術】
花子の種族が自分たちの精神感応能力から「精神」を物理学の基本に置いたことで発展した、生物の精神・思念を構成する素粒子「精神子」の状態を軸にして物質・物体の制御を行う技術。
根底にある物理学的な思想は地球文明の物理学としては未だ未知の領域の多い「量子脳理論」に近く、技術的には量子テレポートやペンローズ過程の実用化に成功している。
地球では寧ろ宗教やスピリチュアルな文化との親和性が高いのではないかと思われる。






文化庁 令和3年度補正予算事業
コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 AFF2 支援作品

野村有志監督作品『さなぎの猫』



www.youtube.com


www.umifilm.com



①インド・サーヴィン国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞
②日本・第一回赤羽自主映画祭(2023年8月26日)入選
​③インド・シッタナヴァサル国際映画祭(2023年8月度)審査員特別賞
​④インドシンガポール国際映画祭(2023年8月度)最優秀国際長編賞・最優秀監督賞・最優秀作曲賞・最優秀音響賞
⑤日本・第15回日本映像グランプリ(2023年)一次予選入選
ベラルーシミンスク国際映画祭(2023年)公式セレクション
ABCホール関西小劇場映画祭vol1(2023年)公式セレクション←NEW



【あらすじ】
猫島として有名な佐柳島に靖という一見ぶっきらぼうな男が暮らしていた。
ある時、靖はびしょ濡れで島を徘徊する花子と名乗る女と出会い、海に落として無くしてしまった「鞄」を探して欲しいと頼まれる。
その時丁度帰省中だった靖の幼馴染である千佳とその夫の清も巻き込んで、美しくのどかな佐柳島を舞台に繰り広げられる小さな騒動。
様々な場所を住む場所に選んだ者たちの人間(?)模様。


未来・過去、そして今を描く、切なくて美しい佐柳島SFヒューマンコメディ!
海外の映画祭でも高評価の日本ならではの静かなSFドラマ。



【監督・脚本】
野村有志


【出演】
浅雛拓
鳩川七海
一瀬尚代
野村有志



【スタッフ】
撮影監督・編集・製作統括 武信貴行(U.M.I Film makers)
助監督 橿原大和(120) 林知明
撮影 タニガワヒロキ
照明 竹田和哲(NOLCA SOLCA Film)
音響 浅葉修(Chicks)
音楽 浜間空洞(小骨座)
美粧 KOMAKI(kasane)
造形 久太郎(Anahaim Factory)
撮影記録 緒花(Noisy Bloom)
制作進行 篠原ひなた 三坂恵美(Booster)
宣伝美術 勝山修平(彗星マジック)
現地協力 坂川桃香
製作 U.M.I Film makers
共同製作 オパンポン創造社
配給 Booster

コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業 ARTS for the future!2採択事業
(2022年/日本映画/88分/カラー/ステレオ/​映倫番号124178 G区分)