U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌48~演出裏話3「主観と客観」

こんばんは、船長の武信です。
この数日はクラウドファンディングのリターン用映像なんかの編集やオーサリングに明け暮れておりました!

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舞台版の舞台映像なんかも編集してましたが、久しぶりに観ると監督の立場からすると映画版と全然違ってて新鮮でしたwww

折角だから違いについて少し。
舞台版の卯月は映画版以上にパワフルで猪突猛進なキャラクターで彼女の主観に観客が乗っかって観るという作りに…多分なってるはず!w
俺の作品ではないので断言はできませんがwww

映画版は始めからサイコサスペンスとしての側面を強調しようという意図があった(というより恋愛物にする気がなかったw)ので、ここが大きく違ってて「主人公の主観と観客の客観がズレていることで観客が先の展開に不安を感じサスペンスが生まれる」という作りにしようと思ってました。
加えて最初は観客の客観と主人公の主観がズレてたはずなのにいつの間にか主人公の主観に乗っかって観ていた…という事ができたら良いななどとw

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勿論、これは概念的・精神的なお話じゃなくて技術面での具体的なお話で、実際に映像として何をやったかと言うと、最初のシーンは望遠での遠距離メインで他者の目線だったのが、途中で主人公と並走するカットを挟んでだりしつつ、クライマックスでは手持ちで広角気味のカメラ自体が前に進む主人公の目線になる…という風に徐々に変化させていってます。

音も話が進むに連れてドンドン現実音じゃない音が増えていってて、山歩きのシーンでは山と全く関係のない門の音とか船の音とか一杯入ってますw
その代わりと言っては何ですがサキさんの演じる老婆は足音一切入れてませんw
無音で歩いておりますwww

え?現実感???
そんなもんうちの店には置いてねーよ!!!www

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この手法を選んだのは、まずは勿論クライマックスで「この先どこへ行くんだろう?」というスリルを生み出す為。
もう一つはラストシーンで映画が再び完全な客観に戻った時の寂寥感を強調するためでした。
彼女が自力で辿り着いた場所には彼女が幻想で期待していたものは一切無いのです。
此処から先はカメラももう一切移動しません。

さてこのチャレンジが実際にどの位効果を上げているかどうかは、是非皆さんの目で確かめてみて下さい♪
個人的にはかなり上手く行っている部類なんじゃないかと思ってます。

 

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