U.M.I Film Makers 航海日誌

映画製作ユニット「U.M.I Film Makers」の活動の日々を記した航海日誌です。

船長の航海日誌81~映画『さようなら』の撮影話②

こんにちは。船長の武信です。


映画『さようなら』映像演出の振り返り第二回です。
前回は主にこの映画のメインになる会話シーン(会話劇なのでw)の撮影についてでしたが、今回は「淡路島」という舞台についての方向から考える映像演出についてちょいとばかりネタバラシをw


脚本上で具体的に「淡路島」と言及されているのでロケ地は当然ながら淡路島でなければなりません。
ここ映像の良い所でもあり面倒な所でもあるんですが「淡路島で撮影したら淡路島の何かしらが必ず画面に映る」んですよね、当たり前ですが。
これが実はクセモノで逆に言うと「背景や通行人などあまり意図せずに画面に映るもの」が「淡路島の何かしら」である必要がある。
「あー、大阪にもありそうだなー」とか「近未来の日本っぽいなー」みたいなものが映ってはいけないw
つまりかなり誇張された「淡路島」である必要がある訳です。
で出した答えが…

堤防
波止場

…海!!!
ハイ、即物的www
良いんです、即物しか映像には映らないのでwww
映らないものはどうでもええのんじゃぁ!!!w


とはいえ海で撮影したら何でも良いのかというとそういう訳にも行かないので撮影的には工夫はしております。
堤防の映像の撮影配置は↓こんな感じ。

洲本港堤防撮影配置図

180m程離れた位置から望遠で撮影しました。
これをやると背景が圧縮されて一枚の絵の中に遠近のものが全てピタッと収まるんです。
具体的に言うと…

地図上の被写体
画面上の映り込み範囲

…という感じです。
淡路島と対岸の本土とそこを行き交う船が全部一枚で収まって、その中を点のように移動しながら会話する人物…という、この物語を一枚の絵で象徴的に表すのにうってつけの良いロケ地だったのではないでしょうか。
監督とロケハンで一発で「ここにしよう!」って決まった場所でした。
無事にここで撮影できて良かったです。


因みにもし撮影許可の問題などで別の場所での撮影になってた場合の第二候補はこちら。

ロケハン写真

同じく洲本港の別の堤防なのですが、こちらで撮影した場合は手前の堤防に沿って歩く末田とチェンをカメラが平行に一緒について行きながら奥には海と本土がずっと映ってる…という映像になったのではないかと思います。
(そしてクライマックス前はそれまでとは逆方向に移動する柴田と一緒に動くカメラの映像になる)
今風の演出に近いのはこちらだったかも…とも思いますが、皆さんはどちらがお好みでしょうか?w

一場面